Jリーグ観客高齢化は悪いことなのか?(上)
中日スポーツの記事「Jファン高齢化 40代以上4割超」は以下のグラフを掲載し「若者のサッカー観戦離れが進み、観客の高年齢化が進んでいることが顕著になった」と書いた。

(図1)



この記事を読んだら、「このままJを見る若者が少なくなると、少子高齢化から日本の人口が減少に転じたように、Jリーグの観客は頭打ちになる。日本の人口増のために産めよ、増やせよ。Jリーグ観客増のために、若者にもっとアピールしろ」と誰しもが思うだろう。

調査に協力した仲沢真准教授は「02年の日韓W杯以降、若い人の減少傾向が止まっていない」、産経新聞によると「『若い客をほとんど見かけないという意見もある』と複雑な表情」だそうだ。

まあ、確かにJ元年からの観戦仲間は偕老同穴、みんな年を取った。先日、1X回目の27歳の誕生日を迎えた僕も若いつもりだが、他人から見れば見事なオッサン。日産スタジアムに通っていても、確かにオッサン、オバサンの数は増えたと思う。だから、比率としては若者は減っているだろうが、実数として減っていると感じるか、といえば、ここ数年そんなに変わっていないんじゃないかなぁ、と思うのだ。

そこで、Jリーグ公式の01~08年の観客実績数と、中日スポーツのグラフ(図1)の各年代パーセンテージをかけて、実数を積み上げたグラフを作ってみた。

(図2)



何より目立つのが、全体の観客数が右上がりに(ってこのグラフだと下だけど)伸びていることだ。そして、若年層をみると、元々少ない。22歳以下の観客は確かに減っているけど、そんなに悲観するほど急激に減っているわけでもないし、少子高齢化の世の中で若者の絶対数が減っているのに、Jリーグに若い観客の数が増えているとすれば、そちらの方が不思議だと思う。

そもそも、
プロ野球=オッサンが見る
Jリーグ=若者が見る
という図式はおかしいと思うのだ。

確かにJ初期は若者が多かった。ブームだったからだ。物珍しいものにまず飛びつくのは若者だ。もちろん、僕のようにJを見続ける元若者もいるだろうが、サッカー興行が珍しくなくなった現在、サッカーというだけでは若者は飛びつかない。

そして、若者が飛びつかない理由として、サッカー観戦の辛さ、難しさがあると思う。

サッカーは確かにルールが単純。しかし、それがイコール単純なスポーツというわけではない。

僕はサッカーをスタジアムで見ることはかなりの苦行であり、観戦を楽しむにはスキルが必要をだと思うのだ。

時間やターン数が決められている球技で、その競技のファンでもない人でも盛り上がれるシーンといえば、得点シーンであろう。そして、サッカーは野球、ラグビー、バスケットボールetcなどに比べ、得点シーンが非常に少ない。誤解を恐れずに言うと、門外漢には盛り上がりにかけるスポーツなのだ。

日本でサッカーと比べるとすれば、同じプロスポーツである野球が適当だろう。

野球は得点が入れば盛り上がるしその機会が多い。それに無得点でも「完封」、「ノーヒットノーラン」「完全試合」など貴重なゲームとなり、これはかなり盛り上がる。

サッカーでも相手を無得点に抑えることに無上の喜びを見いだすファン/サポもいる(マリノスサポにはたぶん他のサポよりも比率が多いと思う)が、たぶんそれは少数。一般的に1点取られても2点を奪う展開の方がゲームは白熱する。0-0をスコアレスドローと言うが、この言葉の響きには徒労感が漂う。

J1の08年の総得点は783点、1試合平均2.56点。まあ、数少ない点が応援するチームに入れば良い。しかし、平均するとその半分の点はにっくき相手チームに入る。つまり、90分のほとんどが応援するチームの得点とは関係ない時間。ほぼ苦行の時間。幼い子どもを連れていけばよく分かる。彼らが盛り上がる唯一の時間帯は得点したときだけだ。それ以外の時間帯は飽きてほかの遊びをしたり、帰りたがったりするのが関の山だ。

また、野球の場合、バッテリーと打者の間の勝負が基本となり、そこで1プレーごとに凡打、三振、ヒット、犠打など「勝敗」や「結果」がある。ある意味、ボールホルダーに注目していれば、だいたい済む。そこで十分にオヤジたちは蘊蓄を語れる。飲みながら仲間と振り返りクダを巻ける。

しかし、サッカーの場合、ボールホルダーだけを見ていても分からないことだらけだ。1対1の勝負は少なく、1対多、多対多のことが多く、ボールと関係ないところも見ていなければならない。そこまでみてないと「試合展開」は語れないし、蘊蓄を語っても、視野が狭いと言われる。スタジアムで見るにはそれなりのスキルが必要なのだ。

こんな苦行に耐える=スタジアムでの観戦を楽しむにはある程度の人生経験と、一定以上の観戦経験が必要だろう。

そして、一定以上の観戦経験を得るには、このスポーツは面白いに違いないという思いこみと、面白くなるまでの我慢強さが必要。自分の考え方を曲げない、よく言えば信念がある、悪く言えば柔軟性がないのは若者よりオッサン。また、何事にも我慢強いのも若者よりオッサンだろう(たぶん…笑)。

そうサッカーはオッサン(&オバサン)のためのスポーツ。大人にならないと面白くないスポーツ。人生経験、観戦経験を積めば積むほど楽しくなるスポーツ。オッサンが多くなって当然なのだ!(続く)

by brotherjin2 | 2009-01-29 20:22 | その他の話題 | Trackback | Comments(6)
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Commented by コロール at 2009-01-29 20:59 x
面白いですね(笑)。
確かに一般的にも感じることのできる話題性(最近の相撲界やゴルフ界)が無ければ、興味を示さないかも知れませんね?
あと昨今のヒット曲みたく若い人向け。
コンビ二の商品開発などのように女性向けという、(一過性の伴う)売れ線路線に力を入れてばかりで、多方面にまで力を入れていないですからね。
それがグローバル化に必要でしょうが、時代にも対応できる本当の「文化」もじっくり育てなければならない。
プロ野球も同様ですけど、Jリーグが進むべき方向に行かなくては。
まだ少し試行錯誤の段階でありますが・・・。


Commented by brotherjin2 at 2009-01-29 21:04
コロールさん、コメントありがとうございます!
アップしてからも筆を入れています。たぶん、明日までには原稿ももうちょっとまともになると思います。
(下)もなるべく早くアップします。
Commented by akito at 2009-01-29 21:35 x
埼玉的思想(リーグ全体なんかよりマリノスの試合が盛り上がる事が最も大切)でぶっちゃけますと、やはりスタジアムの構造が気になります。

上に「サッカーをスタジアムで見ることが苦行、得点シーンが一番盛り上がる・・」という趣旨の記述がありますが、その得点シーンが「日常生活では感じられない、アドレナリンで溢れまくる異空間」であるのなら、あの刺激が病みつきになってスタジアムに通う人が増えると思います。

しかし、我が日産スタジアムはそういった雰囲気を出すのに不利なスタジアムです。それがマリノスの観客動員、観戦年齢層にどう影響するか気になります。若年層は刺激大好きですから。
Commented by さっちー at 2009-01-29 22:49 x
ハマトラ日記から飛んできました。

>ボールと関係ないところも見ていなければならない。
>そこまでみてないと「試合展開」は語れない
>スタジアムでの観戦を楽しむにはある程度の人生経験と、一定以上の観戦経験が必要だろう。

なるほど、と思いました。
場面がどんどん変わってくしたくさんみるところがあるから、
ついていけなくて、悩みの一つです。

試合の展開がよくわからないからかもしれませんが、選手の性格や独特なプレー、気持の入ったプレーとか、見えた時が楽しいです。

試合の展開がわかったほうがサッカーという競技を楽しめると思うけど、選手を見る楽しさもありますよね。

年上の観戦者が多い理由を試合を観るスキルの差と言われてますが、楽しみ方が他にもあるので、一概には言えないなと思いました。

私はデータとか出して語れないし、仁さんの日記の言いたい内容と話がそれていますが、ちょっと気になったので。
Commented by やまちゃん at 2009-01-30 19:35 x
> 僕はサッカーをスタジアムで見ることはかなりの苦行であり、観戦を楽しむにはスキルが必要をだと思うのだ。

本当にそう思います。

自分のことになりますが、自分がサッカーを見始めたのは女房につれられてでした。普通とは多分、逆のパターンでしょうね。女房は学生時代にグラウンドホッケーをやっていて、サッカーとはルールや戦術も似ているところがあり、結婚する以前(というか知り合う前)からサッカーを見ていたそうです。

自分はスポーツはするのはもちろん見るのもそんなに好きなほうではありませんでした。初めてJリーグのスタジアムに行った時は、女房は観戦していましたが、私は女房が観戦に集中できるための単なる子守でした。

牛に引かれて善光寺じゃありませんが、女房のお供をしているうちに少しずつルールや戦術などが分かってきて、いまはようやく楽しめるようになりました。

ただ一つ誤算だったのは、ひいきチームができてからは、冷静にみることができなくなったことでしょうか。却って特にひいきではないチーム同士のゲームのほうが、プレイのうまさとかを楽しめますね。
Commented by 45歳デビュー都民鹿サポ at 2009-02-02 13:43 x
98W杯をテレビで見るうち、サッカーが好きになりましたが、実際スタジアムに足を運んだのは、その5年後、45歳のときでした。
まわりにも40代になってからサッカーに嵌まったというオバサンは少なくありません。ジャニーズ系のコンサートに案外オバサンが多いという話がありますが、オバサンになると「若い男の子が頑張ってる姿を愛でる」という傾向が出てくるように思います。
野球というのは、肉体の躍動感には欠けるスポーツで、「若い男の子の頑張り」鑑賞の場としては、サッカーが圧倒的に向いています。そういう視点なら、オフサイドって何?レベルの初心者でも、十分サッカーは楽しめる。で、嵌まってみると、仁さんのお書きになっている通り奥深い、で、ますます嵌まるという構造。

しかし、寡聞にしてオジサンになってサッカーに嵌まったという人は知りません。オジサンをひきつける道筋はどのあたりにあるんでしょうか?
コメント欄の山ちゃんさんの奥様のように、私も、夫(元巨人ファン。野球は時間長すぎ、とテレビ中継も見なくなった)をなんとかこの道に引き込もうと、何度かスタジアムに連れて行きましたが、残念ながら完全に引き込むには至っていないのが実情です。
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